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「調味料について


1.塩
 
国により塩の製法は異なります。

  
  @岩塩  塩生産の4割を占める。
  古い時代に陸地に流入した海水が地層の変化で流出口をさえぎられ蒸発し、その中に含まれていた塩分が、結晶状になり埋蔵されたものだと推測される。
  ヨーロッパ、南北アメリカ,アジア、アフリカ

  A天日塩田(海水) 塩田に入れた海水を太陽熱と風で乾燥させ塩を作る。
   地中海沿岸、アメリカ、メキシコ、東南アジア諸国

  B塩湖   塩分濃度の高い湖や地下水からくみあげ、濃縮結晶させる。
   西南アジアの死海、アメリカのソルトレイク

日本では、昔はAの塩田法であったが、1971年イオン交換膜方式という製塩方法になり、大きく変わった。
1985年 日本専売公社が民営化され「日本たばこ産業」になり、塩が自由に販売されるようになった。
それまでは、専売法で勝手に製造するのは、禁止されていた。
1997年 専売制は廃止され、日本たばこ産業の塩事業として「財団法人塩事業センター」に移管される。
2002年 塩の販売は自由化され、スーパーなどでも、いろいろな種類や国の塩がならぶようになった。

●イオン交換方式
 海水中の塩分のみを化学的に取り出す効率的な方法。
 塩素イオンとナトリウムイオンだけを通す特殊な膜で区切った水槽に海水を入れて電気の力で濃縮精製して塩(塩化ナトリウム) を作る方法。
ナトリウム純度99%で、純度が高いため、塩辛さが勝つ。

人の体重の2/3は水で、大人の体重の0.3〜0.4%(ex.体重60kgなら200g)、子供は0.2%
1リットルの血液中に、9gの塩が溶けている。
 人体には60兆個の細胞があるとされているが、その細胞外液に塩は含まれていて、細胞が縮み過ぎたりふくらみ過ぎたりしないよう調節をする
役割をもつ。
塩は体の消化吸収を助け不足すると脱水症状、血圧低下、立ちくらみ、倦怠感、精神不安定、眠気、脱力感を起こす。
          例:熱中症 
反対に摂り過ぎると高血圧、腎臓病、心臓病になるリスクが高いとされる。

●塩の働き
塩は調理の際の味付けだけではなく、いろいろな役割を果たします。
@浸透圧作用  魚、野菜などにふると水分がでる。
A酸化防止   VCを保護し酸化による褐変を防ぐ。
B酵素停止   果物などの色止め
Cクロロフィルの保護
D蛋白質の溶解
E蛋白質の凝固
F細胞の軟化
G防腐効果

●塩抜きについて
 数の子など塩蔵品の塩抜きは、真水だとかえって浸透圧の作用で全体に塩味がしみこんでしまいます。海水程度の塩水で塩抜きをする。

●1日あたりの塩分摂取量について
 日本人は1人あたり1日、平均10gの塩をとっているといわれます。(昔はもっと多かったのです。およそ2〜3倍で特に東北地方。)
 まだまだ多く、成人男子なら9g、成人女子なら8gが理想といわれる。
 g表記だと大変わかりずらいですが、計量スプーンで計ると、塩10gは計量スプーン小さじ2ですから、男子の摂取量9gは、1日小さじ2弱ですね。
 しょうゆだとこの5倍で換算します。 しょうゆなら、1日大さじ3になります。
 したがって単純計算すると成人男子なら、三食の食事形態として毎食塩で換算すると小さじ約3/5強は摂取できる訳ですが、
 もともとの食品に塩分のふくまれているものも多く、
 この分量を摂取すると摂り過ぎになる可能性があります。
 特に、外食や市販の惣菜品、加工食品には塩分が多く含まれていますので、
注意が必要です。
 また、和風だしの素や、チキンスープ、ブイヨ ンスープなども、かなりの塩分が含まれていますので気をつけたいものです。

 できれば、天然のだしを使うことをお勧めします。天然のだしを使うとそのものの旨みがありますので、味つけを濃くする必要がないのです。
 インスタントのだしは、味見をするとどうしても、味が足りない気がするのです。それで、塩が足りないと感じ自然味が濃くなってしまいます。
 

○下記は、それぞれの食品及び調味料に含まれる塩分量です。

 即席めん   一食分  6.9g 
 カップめん 一食分  5.2g 
 本だしかつお風味(味の素) 小さじ1  1.6g 
 ブイヨンキューブ(maggy) 1個  2.3g 
中華味(味の素)   小さじ1 1.8g 







2.しょうゆ

●濃い口しょうゆ  原料の大豆を蒸す⇒砕いた小麦と種麹を加える⇒麹室で麹菌を繁殖させる⇒塩水と混ぜタンクにし込む
⇒もろみ(6か月〜1年おき熟成させる)
⇒もろみを絞る⇒殺菌(火入れ)⇒濃い口しょうゆできあがり。・・・・本醸造=現在の発酵方法はこれが主流。

●薄口しょうゆ  原料は同じ。
         香り、色をつけないよう発酵、火入れを押さえる。仕上に甘酒(または水飴)を加え甘味をつける。

●塩分濃度 薄口しょうゆ  濃い口しょうゆの10%増の塩分
        さしみしょうゆ   濃い口しょうゆとほぼ同じ
        白しょうゆ     濃い口しょうゆとほぼ同じ塩分
        減塩しょうゆ    濃い口しょうゆのほぼ半分の塩分
        魚醤         濃い口しょうゆの1.5倍の塩分

●しょうゆの味  塩味、酸味、甘味、苦味、渋味などがあるが、一番の主体は旨み。
グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどのアミノ酸や、グリセリンなどが主成分。これがまざりあい特有の旨みになっている。

この他新式醸造しょうゆ、アミノ酸液混合しょうゆなど、化学的に作るしょうゆもある。


3.味噌

奈良時代の頃に中国〜朝鮮半島を経て日本へ伝来したといわれる。

「味噌」の名の由来  高句麗の「密祖」に由来。
室町時代に一般に普及し、味噌汁はこの頃に誕生。
江戸時代には500以上の味噌蔵があり、各地方の風土と食習慣に結びついたさまざまなタイプの味噌が製造される。

(しょうゆは味噌のあと。)
しょうゆがない時代は味噌を湯で煮だして布で濃し、これを「澄まし汁」と呼び、料理の味つけに使用していた。
この澄まし汁はごく最近まで東北の一部の地域で特別の行事料理に使われていた。

●よい味噌は
粒子の大きさが適正で、味噌汁を椀に注ぎ、しばらくすると底の方に球状の粒子が集まる。

●味噌を煮立たせると
粒子が互いに結合して大きくなり口当たりが悪くなる。
結合する時に、味噌汁の中の旨み成分を吸着するので味が落ちる。

●味噌の風味
味噌の香りは加熱しすぎると風味が落ちるので、風味を生かしたい時は仕上間際に入れる。

●味噌の働き
@消臭効果 魚や肉の味噌漬けにすると、原料の大豆の主成分である蛋白質が、においを吸着する。
A保存性  生鮮食品の味噌漬け  味噌の中の塩分が、水分を吸収し細菌の働きを押さえる。

4.砂糖
以前のものは精製法にいろいろと種類があり、また精製法が一緒でも何回目の結晶かにより、風味に差があった。
砂糖の種類ごとに純度や成分が異なっていた。
現在のものは純粋に糖分を取り出す方法
だけで、
形状(上白糖、氷砂糖)はいろいろだが、全て同じもの(グラニュー糖)が作られている。

●砂糖の原料  
@砂糖きび 甘蔗糖(黒砂糖) 亜熱帯地域に生育するさとうきびの茎を絞り作る。
Aビート(砂糖大根)  ビートシュガー(白砂糖)  砂糖大根とも呼ばれるビートの根から採取。
Bメープルシュガー  砂糖カエデの樹液(北米、カナダ)
Cパームシュガー   サトウヤシの樹液から取る。(インド、東南アジア)

砂糖の原料として生産量の多いのは、さとうきびとビート。

●砂糖の働き
 1.保水効果
 2.食品保存性を高める
 3.酸化防止
 4.でんぶんの老化防止
 5.乳化促進
 6.カラメルの生成
 7.つやだし
 8.ゼリー化促進

5.酢
 ●酢の歴史
  5世紀頃に中国から製法が伝わる。
  大阪の和泉で作られたのが最古。江戸時代に食酢醸造業が確立。
  苦酒(からさけ)とも呼ばれ、酒が腐敗したものが起源といわれる。
 
 ●酢の種類
 @醸造酢  穀物、果実に酢酸を加え発酵させる。
 A合成酢  化学的に合成したさく酸を加えて作る。
 B穀物酢  穀物を酢酸菌で発酵させた酢  米酢、麦芽酢、はと麦酢
 C果実酢 果汁が原料 ぽん酢、レモン酢、梅酢
 D合成酢 別名 酢酸酢。化学合成によって作られた氷酢酸に調味料や糖類を加えて作る。   


 ●酢の働き @発色作用    (例)甘酢漬けのしょうが
         A褐変防止     れんこん、ごぼうなどの変色を防ぐ
         B酸化防止       
         C蛋白質凝固作用   茹で卵に使う
         D殺菌作用       酢漬け、酢洗い
         Eゼリー化促進    


6.油脂
 ●脂肪酸 油脂の主成分である脂肪酸には、脂肪酸がもつ炭素の数、結合の仕方により分類される。

○飽和脂肪酸   バター、ラードなど動物性脂肪(二重結合をもたない)
○不飽和脂肪酸   二重結合(不飽和結合)
             1個なら・・・・一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)
             2個以上なら・・・・多価不飽和脂肪酸(リノール酸)
  

油の品質の規格については植物油の精製の度合いにより3つに区分される。
 @半精製油         ごま油、オリーブ油
 A精製が行われた植物油     白絞油、天ぷら油
 BAをさらにロウ分を除去したもの    調合油(調合サラダ油)

油の製造
 菜種、紅花(種子)などを圧搾して油を絞り、さらに溶剤(ヘキサン)で抽出し完全に絞る。
 大豆、米糠などは固いので直接溶剤で絞る。
 続いて蒸留して溶剤を除去。除去したものを粗油と呼ぶ。
 水を加え余分な物質を除く。
 余分な物質にレシチンと呼ばれる添加物になる物質があり、これはこの時にできる副産物である。

油の種類
 @綿実油 綿を取ったあとの綿花の種子から作る。
        単独でサラダ油として利用される。
        以前に比べると製造過程で極度に精製しすぎで、一価不飽和脂肪酸の占める割合が少なく
        炒めたり揚げ物にしても、べたつき感がある。

 A大豆油 代表的な植物油。ブレンドされて「サラダ油」「天ぷら油」として利用。
        大豆油単独では、多価不飽和脂肪酸が主体の油のため
        揚げ物にしてもからりと揚がらない。

 Bコーン油 とうもろこしの胚芽を原料とする。加熱に強く劣化しにくい。

 Cなたね油 代表的な植物油で需要生産共にトップ。
         A同様からりと揚がらない。
 
 Dべに花油 べに花の種子が原料。ドレッシングなど生で使うことが多い。
         リノール酸が多いためからっと揚がらない。

 Eこめ油  米糠が原料。酸化しにくく加熱に強い。

 Fひまわり油 ひまわりの種子が原料。オレイン酸やVEが豊富。

 Gごま油 ごまの種子が原料。酸化しにくく加熱に強い。
        老化防止効果のあるセサミノールを含む。

 Hオリーブ油 オリーブの実を絞る。オレイン酸を多く含み加熱に強い。
          炒めても、揚げてもからっとしている。
         (オレイン酸・・・・血液中に入っても酸化しにくい。)
         化学的処理を一切加えないバージンオリーブ油と、精製したオリーブ油とに大別される。
         
 Iパームオレイン  パーム油(やしの果肉を圧搾して採取した油)を原料とした半個形脂。
             揚げたスナック菓子、即席麺、ドーナッツに利用される。
              オリーブ油同様オレイン酸の比率が高い。
              
○油の酸化  油は空気中の酸素により酸化され、風味栄養価を損ない、有毒物も生じる。
         ⇒不飽和脂肪酸は酸化しやすい。
         一価不飽和脂肪酸に限り、加熱しても酸化しにくい。




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